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SPECIAL INTERVIEW:露崎春女【Now Playing】

2011年05月06日 19:00



今と昔。実に15年に渡って時代を駆け抜けてきたJ-R&B界の草創:露崎春女の新作『Now Playing』が、先日満を持して発表された。自身がこれまでに辿ってきた音楽的過程へと、バラエティ豊かなサウンド・アプローチを以て切り込んだ意欲作。若手からベテランまで幅広い制作陣を迎え、”懐かしいけど、どこか新鮮”というエポック・メーキングさを全面にさらけ出した内容には、今も変わらぬ凛々しい歌声は勿論、今回の取材でも露わとなった彼女の飾り気ないキャラクターが溌剌と息づいている。過去と向き合いながら未来をも見据えるその力強い心意気、これよりしかとご覧頂くとする。


---前作『13years』から約2年半ぶりのアルバムということですが、その間も制作は、絶えず行なっていたんですよね?

露崎春女(以下T):昨年の春あたりから今作の制作に入ったのですが、それまでも自分で曲は書き溜めていました。あとはプロデュース業の方も、お話があればやらせて頂いていましたね。

---そのプロデュース業のほか、Ustreamでも積極的にLIVEを配信されていましたよね。

T:Ustreamって、言ってみればネット上でのストリート・ライブみたいなものじゃないですか。不特定多数の方がご覧頂けるということで、少しでも多くの人に私の音楽を聴いて頂けるのではないかなと思って始めたんです。

---それらを精力的に行なってきた結果、あまりブランクを感じさせることなく迎えた今作なんですが、『ご自身のルーツに立ち帰る』というテーマが大本にあった上で、サウンドからは寧ろ、『露崎春女の前進』を感じさせるものが多くお見受け出来ました。何故このタイミングで、このコンセプトをもとに制作しようと思ったのでしょうか?

T:私も実際に聴いて育ってきた”80'sのフレーヴァーが散りばめられている曲”っていうのが、最近増えてきたと思うんですよね、一回りしたって感じで。それを素直に「面白いな」と思ったのが一点と、それが”今の音”として通用するんだって分かったときに、自分自身が本来持っているものを出しつつ、若手のクリエイターの方たちと一緒に制作をしたら、今の時代にフィットしたものが自然と出来上がるのではないかと思ったんです。

---個人的にその方向性を象徴している曲だと思ったのが、リード曲にもなっている『Sacrifice』だったのですが、とにかくサウンドが近代的ですよね、新天地。

T:『Sacrifice』は、私にとってもニュー・ワールドでした。テンポはゆっくりなんですけど、激しさも同居しているし、全編マイナー・コードだから凄くダークなんですよね。サウンドの奥行きも気持ちよくて、新鮮でした。

---でも暗い反面、前向きな要素も備わっている気がしました。歌詞では「犠牲」という概念がフィーチャーされていて、『過去があるが故に未来がある』という内容は、どこかこのアルバム自体のコンセプトにも重なってくる部分があるかなと思ったのですが、作詞を依頼する際に、何かテーマは指定されていたんですか?

T:いえ、歌詞はMOMOちゃん(MOMO "mocha" N.)にお願いしたんですが、完全にお任せでした。この曲の場合、自分の世界観を入れ込もうとするよりも、あえて歌うことに徹した方がいいんではないかなと思ったので、歌詞やメロディーは別の方にお願いしたんです。何せ歌い終わるまで、”この曲に私がフィットするのかどうか”見当がつかなかったほどニュー・ワールドでしたから。

---MOMO "mocha" N.さんと言えば、ポップなナンバー『Emergency』でも作詞を担当されているんですが、歌詞のみならず、ボーカルのディレクションなども実にユニークですよね。

T:この曲は、歌い手としてというよりかは、作家として面白い作品にしようと思って作りました。自分の歌声を楽器のように使ってみようとか、色々趣向も凝らして。歌詞も、変わったフレーズが多いんですよね。「110番」とか、まさか自分が歌うとは思わなかったんですけど、歌ってみるとこれがしっくり来まして(笑)

----U-Key zoneさんと組んだ『Let Go』も、かなり攻めてますよね。このアルバムの中だと、一番新しいタイプの曲だなと思ったのですが。

T:不思議な曲ですよね。この世のものではない不思議さ、精神世界みたいな。デモは男性が歌われていたのですが、その時点で不思議さ満点だったので、それをもっと際立たせられるよう、低い声と高い声を使い分けたりと色々工夫をしました。

---U-Keyさんとは初共演でしたが、制作してみていかがでしたか。

:よく喋りましたね、2人で。レコーディング中もそうだったんですが、終わってからの喋りが凄くて(笑) 初めて会った感じがせず、終始和気藹々としていました。

----あと、個人的に「今作ならではだな」と思ったのが、『Love Flame』や『Alright』といったハウス路線の曲だったんです。一般的な露崎さんのイメージって、やはりR&Bやソウルが先行してあると思うのですが、過去にはダンス・ミュージックを積極的に行なわれていた時期もお有りでしたし、まさに「帰ってきたサウンド」という印象が強かった。

T:そうですね、「随分やっていなかったし、やってみよう」と。『Love Flame』は最初バラードだったんですけど、ハウス・トラックでやりたいという思いもあったので、最終的にはこういう仕上がりに。

---”シャレオツ”な感じですよね。サウンドは洗練されているけど、ディテールには回帰的な要素も織り込まれていて。

T:シャレオツ!(笑)アレンジは結構悩んだんですけど、結果的にそれが上手くいったってことですかね(笑)

---『Alright』でも同様のことを思ったのですが、まずテンション的に凄く懐かしいですよね。

T:『Alright』はメロディーがふと浮かんで、そのまま半日くらいで書き上げちゃいました。”歌モノ”っていう感じのトラックではないから、刺激された部分も大きかったのかな。あとはコーラスがメインの曲なので、LIVEではどうやろうかと今考え中です。

---そういえば、先日初めて生でLIVEを拝見させて頂いたのですが、素晴らしかったです。

T:ありがとうございます(笑)

---”さぶいぼ”が立ちました。

T:あっ、大阪ではさぶいぼって言うんですよね、さぶいぼ。

---こちらでは言わないんですか?

T:んー、関西だけじゃない?(笑)



---とにかく、今回はアガれる曲が多いですよね。
それはやはり、露崎さんのルーツに、踊れるナンバーが強く根付いていたからということなのでしょうか。


T:私はそんなに踊るタイプではないし、クラブでもあまり遊んだりしないんですけど、特に最近は、作る音楽の基本にダンス・ミュージックがあるようで。根付いているのは勿論なんですが、今の気分として放出していたのがそうだったということもあるし・・・何か、カラッとしたかったんですよ、サウンド的に。ジメッとじゃなく、カラッと。

---快活な曲、ってことですね。

T;そう、快活。

---一方で、”懐かしさ”の方が強調された曲も散見されました。
『Bye Bye Gloom』は軽快なロックン・ロールで、正直かなり異色な曲だなと思ったんですが。


T:初めはバンドを組んだり、ギターをやったりとロックン・ロール少女だったので。LIVEで盛り上がる、シリアスではなくお気楽な感じの曲調が欲しいなと思って、Nao君(Nao'ymt)に頼みました。出来上がりを聴いた時は、「やったぁー!」って感じでしたね。レコ―ディングをしているときも、歌えば歌うほど、「あーこれは私やりたかったな~」ってしみじみ思って。楽しかったです。

---あと個人的に、Nao'ymtさんがロックンロールを手がけるというのが凄くインパクトがあったんですよね。

T:ロックンロール・R&Bって感じ。Nao君がやればそういう仕上がりになるなと確信していたので、制作を依頼しました。この曲が流れるとエア・ギターがしたくなるんですよね、格好いいし楽しいし。

---懐かしさで言うと、『A New Day』や『Real Love』あたりは本当にピンポイントというか、80年代近辺のR&Bマナーへうんとフォーカスを当てられた曲ですよね。両方とも、露崎さんの歌があってこそというか。

T:歌ものとして、成立しやすい曲ではありましたよね。ソウルな流れは一番出ていると思うので。
あと、テイストが大人っぽいから、私ぐらいの年齢が歌うのにちょうどいいのかなーなんて。

---身の丈に合った感じですか。

T:んん、身の丈っ!?(笑) 身の丈は、ちょっと違うんじゃない?(爆笑)

---どちらかというと否定的な表現でしたかね・・・すみません(苦笑)

T:いや、でもワタシもありますよそういうの。こないだも使い方間違っちゃったことがあって・・・


<<しばし、日本語の誤用について歓談>>


---終盤には、バラードが2曲。まず、『さよならの誓い』は離婚をテーマにされた曲ということですが。

T:自分の年齢や、生きてきた中での経験なんかも含めて今後歌っていける、まさに自分の身の丈(笑)に合った曲を歌いたかったんですよね。

---(笑) 結婚ソングはあっても、離婚ソングってあまりないですしね。

T:そうそう。パッと聴きは分からないんだけど、歌詞にはちゃんと離婚だと分かるディテールがある。歌詞は別の方が書いてくださったんですが、上手いなあと思いました。

---ラストは、『Time is Jewelry』。ご自身もゴスペル・クワイヤーとして活動されていた時期があるということで、この曲にはさぞかし強い思い入れがあるかと思うのですが。

T:”歌手”になろうと思ったきっかけが、ゴスペルを聴いてからだったんですよね。初めて聴いた時は本当に衝撃を受けて、雷に打たれたように「私はこれをやる」って思ったんですよ。そのときからずっと、ゴスペルのサウンドやボーカル・スタイルだけではなく、自分自身がそうやってもらった感動を、聴いて下さる方に与えられるようなシンガーになりたいと思っていて。この曲は当初、ゴスペルのアレンジではなかったんですが、”色々なことを越えて今がある”という流れで何かを歌うのであれば、自分の変わらず持ってきたものをしっかりと分かりやすい形で表現したいと思って、あらためてゴスペルのアレンジを施し、クワイヤーも入れたんです。

---説得力が凄いですよね。歌詞も素晴らしくて。
”過去を認めた上で今と向き合う”というスタンスは、1曲目の『Sacrifice』でも綴られていますが、内省的でダークな佇まいである『Sacrifice』に対して、この『Time is Jewelry』は曲調、詞ともに希望に満ち溢れているんですよね。アルバムの最初と最後に、全くの対極にありながら、でもどこか通じるものがある2曲が配置されているのって、何だか深いなと思いました。


T:そう言われてみればそうですよね。全然意識はしていなかったけど、多分無意識の中での意識は働いていたんだと思います。自然にやっているからこそ本音が出るというか。

---すごいなあ。
それにしても、今作は本当に幅が利いていますよね。でもコンセプトがはっきりしている分、解釈が凄くしやすいアルバムだなと思いました。曲からのインスピレーションも広げやすくて。


T:「なるほど、ああいう感じがやりたかったのねー」とかね。

---そうですそうです。
あと、若い世代にとっても、何となく懐かしさを感じられるような仕様になっているのがミソだなと。


T:へー、面白い。


---さて、制作やリリースも無事に終えて、これからツアーに入っていくとのことですが、ずばりどういったLIVEにしたいですか?

T:アップな曲が多いので、”アゲアゲ”な感じをどういう風に表現していこうか、今考えているところです。

---ということは、躍動的なステージになると。

T:そうですね。パワフルにやっていきたいと思います。

---では最後に、アルバムのタイトルである『Now Playing』にちなんで、今まさにこのアルバムを絶賛鑑賞中の皆さん、或いは鑑賞しようとしている皆さんに向けて、このアルバムをより一層楽しむためのポイントがあれば教えて下さい!

T:そうだなぁ・・・出かける前に聴くとテンションが上がって、その日1日は良い気分で過ごせるかもしれない?!(笑)


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コメント

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  2. ケンイチ | URL | -

    No title

    >>JULIEさん
    Thanx!!

    今後もっと素晴らしい文章が書けるよう、頑張ります!

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