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mochA 『アニマルFIGHTER』 『地球と月』:シングルレビュー特別篇

2012年07月04日 19:44

  

 ユーモラスかつシビアな作風で注目を浴びるシンガーソングライターのmochAが、7月4日に配信シングル「アニマル FIGHTER」「地球と月」を同時リリースした。今回も、お馴染みのパートナーであるU-Key zoneをプロデュースに迎え、シーン屈指のオリジナリティを発揮。そしてさらに言うならば、今回の二作品は、mochAの新天地突入を決定付ける記念碑的な楽曲でもある。歌声や歌詞には生身の人情を含ませ、サウンドやメロディにおける独特の緩急は、聴く者に嬉しい違和感を抱かせる。もしかするとmochAは、この機会に今までの自分から脱皮したがっているのではないか――そう素直に予感させるほどに、今回用意されたギミックは純粋無垢で、健康的なバイタリティに満ち溢れている。
<”変わり者”から普通の女の子へ。mochAのことばに親しみを抱くとき>

 これまでのmochAの楽曲を回想してみる。「DNA☆」、「パラノイド」、「ジルコニア」・・・奇抜なタイトルからも見て取れるように、彼女が主に得意とするのは、人間の本質的な毒々しさを抉った心情表現と、それを演出する多彩なレトリックである。それは時として吐き気を覚えるほどに生々しく、一種の禍々しさすら味方に付けることもままあるのだが、客観的に捉えれば正直、どうということはない。そしてそれは言い替えると、彼女の楽曲はユニークで愉しいが、主観視するとなるとどうしても難儀な部分が確実に存在していたということにも置換出来る。例えるなら、K-1などの格闘技を観戦する際、もし自分があの場に居たら殴られることに怖じ気づいてしまうだろう、などと空想をしながらも、次第に試合へと翻弄され、のめり込んでいくときの感覚に少し似ているかもしれない。

 だが今回の二作品に関しては、そういった端から様子を堪能したいという所謂怖い者見たさの要素は一つとして見当たらない。それどころか、肩肘張らない彼女の一言一句はいつになく誠実さを帯び、聞き耽っていたいと心から思わせる中毒性のある婉美さを放っている。比喩表現が柔らかくなったとか、そういう次元の話ではない。もっと根本的な部分で、mochAに何かしらの変化があったのではと思わせるエポック・メイキングなカラクリが、軽妙かつ巧妙な手口で幾重にも張られているのだ。その傾向を徹底的に裏付けているのが、悠然と揺らめくミディアム・ナンバー「地球と月」。この曲でmochAは、”季節感の強調”というこれまであまり手をつけて来なかった身近な手法に惜しげもなく取り組んだ。そこに「缶ビール」「キュウリ」「インセプション」などの名詞、さらにはU-Key zoneのお手製による荒涼としたサウンドも大胆に駆使し、夏の朝、浜辺、そして報われない愛と遣り場のない絶望感を、ことごとくリアルな彩度で描き出している。mochAがここまで真摯な体勢のもとで叙事的な作品を目指したのは初めてのことで、当初は少し戸惑いもした。だが楽曲に聴き浸るにつれ、この意外性こそがテクニカルな世界観に潜在する彼女ならではの普遍さなのだということに気付いたとき、やはりとんでもなく秀でたセンスに恵まれたアーティストだと再確認せざるを得なくなった。そして何より、いつもはシュールさを蔓延らせている数々の修辞が、この曲では主人公と相手の泡沫的な関係性を助長させる潤滑剤のような役割を全うしていて、どうにも切なくなって仕方ないのだ。このある意味”らしくない”改革的な楽曲を制作し発表するにあたって、mochA自身にもそれ相応の決意があったことだろうが、よしんば本作のストーリーが全くの虚構だとしても、かつてないスケールで親しみとカタルシスを味わわせてくれたのだから、彼女のリアリティ投影術は今回もまた、確かに実を結んだということなる。

 一方の「アニマルFIGHTER」。こちらはどちらかと言うと、「TAG」や「ジルコニア」に代表されるmochAのベーシックな作風を踏襲した”レッツ・メタファー”な代物である。だが「地球と月」同様、筆致に普遍的なリアリティが注ぎ込まれているため、SF的フィクション、あるいは自分とは無関係などと高を括って聴くと、”まさかの共感”という思わぬ先制パンチが飛んでくる可能性があるため、油断は禁物。また、”(笑)”を”カッコわらい”として堂々とリリックに乗せてみせるなど、mochA特有のおどけ因子も数段レベルアップ。こんなフレーズ、今日日C級アイドルの楽曲を聴き漁ってもなかなか巡り逢えない。まさに「TAG」や「ジルコニア」で耐性を植え付けた彼女ゆえの所業と言えそうだ。ただ、一体どういった意図でこのフレーズを用いたのか、などと考えを巡らせることだけは極めて野暮な行為なので、まずは直感的に音とことばの世界を耳でなぞってみることを推薦する。その際、胸に形容しがたい快感を覚えたのなら、来る者拒まずのmochAワールドへの入口はすぐそこだ。そしてこの楽曲に関しては、ソリッドなギターを配置しエッジーさを演出するなど、サウンド面においてもちょっとした遊び心が忍ばせてある。mochAの一癖あるリリックの世界観には目を奪われるばかりだが、音の魔術師:U-Key zoneの先進的なサウンドワークなくして、これほどまでにフリーキーなグルーヴは当然ながら生まれない。本当に今更ではあるがこの二人、とてつもなく馬が合うのである。

 「アニマルFIGHTE」と「地球と月」。一見すると対照的な楽曲だが、いずれも現実離れし過ぎず、ファンタジーとの絶妙な境界を保ちながら築かれているという面で共通項を持ち、互いに共鳴し合っているようにすら感じる。また、こうして新機軸への挑戦を果たした現在も、本来の神秘的なキャラクターはさらに加速度を上げており、mochAとU-Key zoneの両者間に介在する真の安定感を、あらためて思い知らされる絶好の機会にもなった。結局は、どのように振る舞ったってmochAはmochA。この確固たる方程式がよほどのことで覆らない限り、彼女はいつまでも、自分らしく輝き続けるのだ。

アニマルFIGHTER
アニマルFIGHTER - Single - mochA 

月と太陽
地球と月 - Single - mochA

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