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HI-D 『Love Life』

2013年04月24日 22:00

 

<アルバムレビュー>
HI-D 『Love Life』 (2013/4/24)

1. STARS
2. Sounds Like In Da Club
3. Over Drive
4. Must Be Love
5. パズル

6. Sound Check
7. Space Ship
8. be my baby ~interlude~
9. Island Girl
10. Won't Fall (2013 re-edit ver.)
「Girlfriends feat. ZEEBRA」でデビューを果たして今年で10周年。その間でHI-Dが日本のR&Bシーンに刻み付けてきた軌跡たるや、リスナーに革命を起こし、フォロワーを多数生み出すほど絶大なものだったと認識しています。現にその勢いに吸い寄せられたファンの一人である分、彼が作品を重ねるごとにリスペクトの奉じが止まらなくなるわけですが、今回のマスターピースはと言うと、いつも得る驚きに加えてちょっとした安心感もあり。一聴し終えた際、まるでパズルの最後を司るピースがぴたりとはまったときのようなカタルシスを感じずにはいられませんでした。

HOOD SOUND移籍第一弾となった『MY WAY』では原点回帰とばかりにヒップホップの毛色を強め、客演などで培った自らの立ち位置をあらためて強調して見せたHI-D。もちろんそれは説得力に満ちたクールな佇まいであったし、心機一転の大事な場を重んじるにも何ら申し分のない世界観でした。そして今回のアルバムもまた、過去と未来の両面を見据えた作風に。とは言え、標榜している着地点が前作とはまるで異なっているのですが。

ヒップホップがルーツであるなら、彼にとってR&Bは自身のキャリアを物語るトレードマークのようなものでしょう。これまで彼がシーンの第一線でR&Bを追求してきたことは、もはや周知の事実。でも彼はそこに胡座をかくことなく、おそらく本作で一旦のブレイクを入れたのです。「果たして本当のR&Bはどこにあるのか。そして自分の目指すR&Bの黄金式は如何にして作り上げていくものなのか」そうした直向きな考えから着想を得て、本作の輪郭部分にあたる”オーセンティックさに溢れたR&B譲りのプロダクト”が誕生したのではないかと。これが先ほど挙げた”過去”にあたる解釈です。

では”未来”はどうか。それは論より証拠、本作を聴いてもらえばすぐに分かります。
模範のごとくアーバンなスタンスが根底に広がる同作ですが、その内容は思わず唖然としてしまうほどに鮮烈かつ有機的。昨年「Won't Fall」というシングルが世に出た際、全英語詞に挑むという離れ業にいささか驚いたものですが、一曲きりではなく、まさかアルバムの半数にも及んでトライしているとは思ってもみず。当然、歌詞が英語だからという理由だけで目を見張ったのではありません。世界的な音楽ジャンルであるR&Bの共通認識と向き合おうとする努力の跡が、個々のアプローチにはっきりと垣間見えたからです。この点に関しては、形骸化が進み、定義が散漫としつつあるR&Bのギャップを自分なりに埋める作業の一環なのだと見受けました。そもそもHI-Dと言えば、かねてより日本語詞の尊重を続けて来たある意味での第一人者。そんな彼がグローバルな手法を精力的に打ち出して来たとなれば、ただ漠然と聴いている方が難しいというものです。

ただこれだけで完結させてしまうと、単なる独り善がりと紙一重なんですよね。そこが音楽の難しいところかもしれない。でもHI-Dは違う。前時代には前時代のならわしが根付いていたように、今には今のルールが存在する。彼もその本質も心得ているからこそ、派手に装ったエレクトロ調のダンス・ミュージックをはじめとするトレンドに準じた曲調さえ、華麗にこなして見せているのです。この”狭いのだけれど広い”絶妙なテイストを確認したとき、何て機転の利くアーティストなのだろうとあらためて拍手を送りたくなりました。時代に逆行することなくR&Bの定義をスマートに貫くのは今の時代、決して容易いことではないですし。でもこれならきっと、誰がどこから聴いてもR&Bの3文字が浮かぶだろうし、尚かつ否が応でもそうだと認めたくなるような絶対的な威厳もあって、まさに向かうところ敵なし状態。ベテランの余裕にあっぱれです。そしてこれは余談ですが、ずっと彼を応援してきた自分のことを少し褒めてあげたくもなりました。

いずれの特徴も、デビュー10年目を背負って立つこのタイミングが引き寄せたものだと考えると、より重厚な意義を見出せるかと思います。そしてタイトルにもある「Love」とは、すなわち彼がこの10年もの間、R&Bへと向け続けた真摯な眼差しのメタファーなのだということも自ずから実感できるはずです。僕が保証するのもおこがましい話ですが、最後にあえて言わせてください。

R&Bファンの皆さん、激しくオススメです。


先行シングルとなった「Must Be Love」
メロウネスを追求し抜いた至高のミディアム・スロウ。





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