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Nao'ymt 『矢的直明 2013 大晦日』

2013年12月30日 17:12



<アルバムレビュー>
Nao'ymt 『矢的直明 2013 大晦日』 (2013/12/25)

1. Complicated
2. Cold
3. All Disappear
4. Sunrise

5. One Day We Will Be Together
どこぞのリスナーが「死にたくなるアルバム」と形容しており、まさに言い得て妙だと思った。もちろんこれは(婉曲とは言え)最大の賛辞であり、Nao'ymtが擁する音楽性の核心を突く部分にもあたるので、言葉そのままを鵜呑みにせずに吟味のほどを。

孤高の水準を誇るR&Bヴォーカル・グループ:Jineに所属し、昨今では安室奈美恵や三浦大知に携わるプロデューサーとして多方面に名を馳せるNao'ymt。そんな彼が「自分の自分による自分のためのアルバム」をコンセプトに、突如としてEP作品を配信リリース。表面上の情報だけで推し量ると、単なる自己満足の代物と捉えられかねない部分も生じてくるのですが、論より証拠、まずは最初から最後までじっくり鑑賞してみてください。・・・見えてきたでしょ?形容することも恐れ多くなってしまうほど幽遠な世界観が。そしておそらく、Nao'ymtが人知れず抱えてきた絶望と希望も。

ややくぐもったサウンドはもはやアンビエントの域に到達しており、まるで己の魂が霊界を彷徨っているかのような不思議な感覚を授けられることに。これがいわゆる「死生観」の喚起にも直接的な作用をもたらしているように感じたのですが、その高尚な音色以上にエグさを剥き出しにしているのが、Nao'ymtが満を持してパーソナリティを開け放った歌詞。

喪失感から来る自棄の日々を歌う「Cold」、退廃と同時に強い意志を覗かせる「Disappear」、そして「Sunrise」でふと差し込む一縷の光・・・これら全てが連動した一つの物語であるかどうかは定かではありませんが、終盤にかけて徐々に優しさを帯びていくグラデーショナルな構成と相まって、Nao'ymtの心に留まり続けたであろう感情の丈は芸術的な形で昇華を遂げたのだと、受け手も判然と認識できるはずです。ちなみに僕が受けたインプレッションとしては「基本的にネガティブな感情に敏感な人。でも生気はあって、結局のところ憎めない」、そんな感じ。

彼のトレードマークである押韻も、いつにも増して遠慮を知りませんからね。「Cold」のラストを担うパートなんて珠玉の極み。カタルシスが湧き上がりすぎて今にも飽和しそうです。他方、本作の半ば鬱屈した流れに一石を投じるのは「Sunrise」。エピローグがてら、シンプルな言葉遣いで「この世界」に帰還した(あるいは帰還したいとする意志がある)ことを最後に表明します。コンセプチュアルな作風らしく、しっかりとオチを用意したわけです。

アクの強さや計算高いプロダクトに制御をかけず、自我をあえて振り切らせたのはこの上なく英断でした。最近では著名アーティストへの楽曲提供を経て彼自身に関心を寄せるファンも増加しつつあったので、タイミング的にも出来過ぎていると思うぐらいばっちりだったなと。しかも嬉しいことに、本作はシリーズ化を予定しているのだとか。次なる作品を世に出す頃、矢的直明は果たして何を語り、どんな音楽に出力を委ねるのか。来年も引き続き、彼の一挙手一投足に注目していきたいと思います。



公式サイト(歌詞掲載ページあり)



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