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SUITE CHIC 『WHEN POP HITS THE FAN』

2010年05月20日 22:34

WHEN POP HITS THE FAN (CCCD)

『J.B.S. 2nd Anniversary 4大企画』、2日目は、現在の安室奈美恵が存在するのはこの1枚のおかげ、といっても決して過言ではない、SUITE CHICのアルバム『WHEN POP HITS THE FAN』(03.02.26)をレビュー。

m-floのVERBALと、今井了介によって発起されたこのプロジェクトは、日本のHIP HOP/R&Bシーンを代表する多数のビッグネームを巻き込み、当時小室哲哉プロデュースから離脱して燻っていた安室ちゃんを、一躍ハイクラスなR&Bエンターテイナーに仕立て上げたことで、大きな話題を呼びました。この作品で、「自分の好きな音楽と対峙する」ことに対する確たる自信を体得した安室ちゃんは、以降現在まで続く、強力なR&B路線へと本格的にシフトチェンジ。それからは売り上げ低迷で、今ひとつ浮かなかった当時の環境を徐々にではありますが打開し、ついには世が憧れ認める魅惑のトップ・アイコンへと、見事なまでに返り咲いたわけですから、今作のもたらした彼女への影響力は、とても容易に計り知れるものではありません。逞しい今の彼女のスタイルに感化されて、現行のシーンが活気づいている部分も少なからずあるでしょうし、そういう意味では、寧ろ俺たちリスナーやファンが、今作の至高のクオリティに、心から感謝しなければいけないくらいなのでしょう。

1. hits the fan
2. What's on your mind feat.XBS
3. GOOD LIFE feat.FIRSTKLAS
4. baby be mine
5. We got time
6. Without me
7. segway
8. DAMN FIGHT
9. Not This Time
10. WHAT IF feat.VERBAL(m-flo)
11. "Uh Uh,,,,,," feat.AI
12. SING MY LIFE feat. DABO
13. ain't yours
14. segway
15. SIGNS OF LIFE
16. Just Say So feat.VERBAL(m-flo)
17. sweet and chic


一応、「俺の青春時代を彩ったアルバム特集」の一環でレビューを書いているので言及させてもらいますが、今作がリリースされる以前の安室ちゃんのイメージというのは、俺の周囲でも正直言って、あまりよろしいものではなかったんですよね。寧ろ「えらい落ちぶれたなぁ」と嘲笑されることの方が多かったくらいで。そんな中でも、いちリスナー、いちファンとして、彼女のことを陰ながら応援していた俺だったんですが、この「WHEN POP HITS THE FAN」がドロップされた際は、それはそれは手放しで大喜びした記憶がありますw その年にリリースされたシングルが、2つともバラード曲だったっていうところも大きいんだけど、やっぱり「彼女は歌って"踊る"からこそ持ち味が発揮されるんだ」っていう持論が当時から強くあったので、踊るどころか、最新鋭のR&B/HIP HOPサウンドを、革新的に自分のフィルターを通じて大衆へ発信している今作には無論、大層な衝撃を受け、しばらくの間は、ただただ敬服しながら聴いてましたね。


前置きが少し長くなりましたが、それだけ俺にとって強い思い入れのある作品なので、今回は、インタールードを含めた全曲レビューでお送りしたいと思います。散漫に感じる箇所もあるとは思いますが、ご了承ください。


1. hits the fan
洗練された電子サウンドがシックに息づくインスト・チューン。
すぐそこに迫る一大スペクタクルを、さも見透かしたかのような冷静さがニクい限りです。

2. What's on your mind feat.XBS
凶悪なベース音が牽引する、ダイナミック味溢れるHIP HOPトラック。
決して張り上げることない安室ちゃんのボーカルを、XBSによる(良い意味で)一本調子なフロウが好アシスト、のっけから五感をヒリヒリ言わせてくれます。


3. GOOD LIFE feat.FIRSTKLAS
FIRSTKLAS(ZEEBRAと今井了介によるユニット)がプロデュースを請け負った1stシングル。
R&Bを彼らなりにとことん追求した、セレブな装いのパーティーチューンで、テンポ良い押韻に挑んだ安室ちゃんのラップ調歌唱が、当時いやに新鮮でした。

4. baby be mine
弾力あるギターカッティングで小気味よさを強調した、今作きってのキュート要員。
何が可愛いって、安室ちゃんのいじらしいボーカルですよ!特にコーラスの厚みを伴ったHookはスムースさ抜群で、非常に耳当たりがいいものになっています。

5. We got time
冬の情景豊かな切ないリリックが後引く、SUITE CHIC史に燦然と輝く名アップ。
こういうマイアミベースの16ビートも、彼女が歌うと非常にセンセーショナルに映りますよね。
ラストに劇的な転調を施すなど、歌謡曲としての側面も堪能なのが特徴。

6. Without me
全盛期のRodney Jerkinsを思わせる複雑なチキチキビートを這わせた、ハイクオリティなR&B。
アーバンぶりを競っていた、当時のJ-R&Bの潮流をも手堅く表現されているので、聴いているともの懐かしい気持ちがドッと押し寄せます。ちなみにプロデューサーは、当時シンガーとしてもバキバキ活動していた今井大介氏。現在は、BENIのプロデューサーとしてお馴染みですね。

7. segway
スクラッチ主導の不穏な音色がループする、本作2曲目となるインタールード。


8. DAMN FIGHT
スウィンギーなビート使いで、第2部の破天荒ぶりを高らかに予感させる粋なミドル・ダンサー。
AKIRAがプロデュースなだけあって、サウンド面は、当時同時期に活動していた企画ユニット「PALM DRIVE」の作風と、ほとんど遜色ないものになっています。どうせならそのままの流れで、PALM DRIVEにも安室ちゃん招来すればよかったのにw

9. Not This Time
イントロでどうしてもデスチャの「Bug A Boo」がちらつく、極クール路線のアップチューン。
終始低域を貫徹する控えめなボーカル・ワークで、R&Bシンガーとしての新たなポテンシャルを見出しました。

10. WHAT IF feat.VERBAL(m-flo)
和情緒もふんだんに盛り込んだ、スリリングな展開が売りのバウンシーShit。
Hookラストの「幸せ↑ならば↓~♪」のくだりが個人的に大好きですw
ちなみにプロデューサー&客演で参加しているVERBALは、後にリリースされるアルバム「STYLE」でも、「Fish」という同路線のフロアチューンをプロデュース。


11. "Uh Uh,,,,,," feat.AI
ボーカル・プロデュースにMICHICO、そして客演MCにAIという、現在も彼女と大いに親交がある2組が参加した、即効性高い畳み掛けイル・チューン。後にR&Bプロジェクト「JHETT」でも共演したYAKKOによるダークな硬質トラックのもと、安室ちゃんのドスを効かせた低音ボーカルと、AIのやんちゃな弾丸ラップがせめぎ合う様はまさに超・痛快!これをシングルとしてカットするに踏み切った意図も、素直に褒めてあげたいなぁ。

12. SING MY LIFE feat.DABO
独特の浮遊感と親しみやすいメロディーで攻める、フダツキー aka DABO客演の1曲。
他の曲に比べて、語尾を艶っぽく歌い上げる安室ちゃんが健気で好きです。
DJ CELORY×安室ちゃんというレアなコラボにも注目してお聴きください。

13. ain't yours
アルバムのクライマックス間近にて一際異彩を放つのは、生音を交えた大胆不敵なソウルチューン。こういう半ば実験的な内容の作品だからこそ、堂々と成立し得た楽曲だとは思いますが、いつになくエモい歌唱も十分身の丈に合ってるし、ソロでももっとこういうのしてくれたらいいのになぁ。松本良喜×MUROという突飛な取り合わせも面白い!

14. segway

いかにも今井氏らしい歯切れの良いR&Bサウンドを打ち出した、3曲目のインタールード。

15. SIGNS OF LIFE
SHAKKAZOMBIEからTSUCHIEがプロデュース登板した、アコギがしめやかに音色を刻むR&Bミディアム。
今作中1、2を争うほどの地味曲ですが、その「無駄」を削ぎ落とした素朴な質感は、聴けば聴くほど病み付きに。

16. Just Say So feat.VERBAL(m-flo)
1stシングル「GOOD LIFE」のc/w曲。当時確か携帯電話のCMソングに起用されていたので、「GOOD LIFE」よりも馴染み深い人は多いかも。印象としては、「GOOL LIFE」のサウンドに、よりグロッシー感をプラスした感じとでもいいましょうか。若干覚束ない安室ちゃんの歌唱も、良い味出してて非常に妙味。

17. sweet and chic
⑭同様、DOUBLEの「VISION」あたりに収録されていそうなムードあるR&Bインタールードで、今作は幕締め。インスト曲に至っても、一つ一つしっかりとした世界観が保たれているのが、今作の特筆すべき長所です。



以上全17曲収録です。
今や世間に媚びない屈強なイメージを誇る安室ちゃんが、どのような過程を経て、今のスタイルへと成り上がったのか。それまでに自分が擁していたものとは違うフィールドに降り立ったとき、彼女は一体何を思ったのか。それらの答えはズバリ、この1枚を聴けば、それぞれの身を以て、痛いほどに体感出来るはずです。豪華絢爛なプロデューサー陣や、間口の広いサウンド・アプローチなど、魅力を問われれば、枚挙に暇がないこの奥床しい傑作。それは、今の安室奈美恵をこよなく愛しているのなら一度は通過しておかなければいけない、我々に課せられた、一つの"ステップ"も同然なのです。



◆BEST ALBUM 『BEST FICTION』のレビューはこちら
◆ALBUM 『PLAY』のレビューは
こちら
◆ALBUM 『PAST < FUTURE』のレビューは
こちら

◆Official(まだ生きてるとは!w)⇒http://www.suitechic.com/

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コメント

  1. 501 | URL | Lis/V8ZU

    来ましたね、歴史的名盤!!
    ただこの頃は安室ちゃん自身がまだ慣れないのか
    声量無さすぎだったり、歌唱がちょっと不安定だったりしてるんですよね。
    以降の彼女のド級の成長っぷりに比べてしまうとどうしても
    『完璧』とは言えないアルバムだと思うんですが、
    リスナーの記憶に残るのは、こういう節目の作品なんでしょうね。

    なんだかんだで、俺も超超思い入れの深い一枚です!w
    メジャーとアングラの壁をとっぱらって、邦楽シーンを変えたのも彼女らがいてこそですよね。
    今はWhat's on your mindをよく聴いています。XBS最高!

  2. あっちゃん | URL | pYrWfDco

    これ最高ですよね~っ!
    僕が聴いたのは3年くらい前で、普通のJ-POPしか知らなくて、R&B/HIP HOP系はほとんど聴いてなかったんですけど、このアルバムは何度も聴くうちにすごいはまって、こーゆー音ってカッコイイ!と思うようになりました(^ω^)♪
    アルバム全体に漂うゴージャス感?っていうんですかね、、ジャケットもおしゃれだし、もうたまりません(≧∀≦)

  3. ケンイチ | URL | -

    >>501さん
    ですよねー。確かに歌唱面等から拙さは半端なく伝わってきてしまうんですけど、
    その拙さには、彼女渾身の「努力」や「直向きなスタンス」なんかが
    ちゃんと裏打ちされていることが確信出来るので、
    そういう彼女の成長過程を窺うという意味では、
    十分に楽しめちゃう1枚だと思います。

    この頃って彼女の他にも、Crystal KayやDOUBLE、HIP HOPでいえばZEEBRAやDABOらが、
    そのメジャーとアングラの枠を取っ払った作風で一世を風靡していましたよね~。
    なんかその当時のことも色々思い出しちゃって、レビュー書いてる途中に泣けてきましたw

    「What's on your mind」は、XBSのあのイカつさがあっての1曲ですね。カッケー!

  4. ケンイチ | URL | -

    >>あっちゃんさん
    やっぱりあっちゃんさんのように、このアルバムが、新しい音楽へと踏み入れるひとつの切欠になった方は多いんでしょうねぇ。

    俺自身、当時の安室ちゃんも嫌いじゃなかったんですが、今作で本格的に路線転向して以来、それまで以上に注意深く動向を追うようになりました。やっぱり彼女は素晴らしい逸材ですわぁ。

  5. cozey | URL | XQHZ9Q/.

    こんばんは。
    安室ちゃんにとって、本当にエポックメイキングなプロジェクトになりましたよね~。
    確か当初は覆面ユニットだった記憶があるんですが?これの正体が安室ちゃんだ
    った時はとてもびっくりした記憶があります。

    そしてAIもBIGになりましたよね~。まさか再びタッグを組むとは思いませんでしたが。

  6. ケンイチ | URL | -

    >>cozeyさん
    ホント、度肝を抜かれましたね~。
    まさかこういうプロジェクトに彼女が参加するとは思ってもみなかったので。
    今の彼女のルーツがここにあるのだと考えながら聴くと、また違った味わいがありますねぇ。

    AIは飛躍的に出世しましたよねw
    最近はシンガーメインですが、MCとしての彼女もぶっ飛んでいて好きなので、
    たまにはラップもしてほしいですわぁ。

  7. ピタ | URL | -

    当時はネットよりもMTVばっかり見てたから、
    「Just Say So」が使われてた某CMとか
    「GOOD LIFE」のPVでこのプロジェクトを知った時に
    何か予想もつかない新しいことが始まる予感で
    すごいワクワクしたのを覚えてるな~。

    『安室奈美恵』という名前に縛られて出来なかったことを実現するための
    殻を破るための一歩として本当に重要な1枚になったよね。

  8. ケンイチ | URL | -

    >>ピタ君
    「Just Say So」は、俺も凄くCMが印象的だったなぁ。
    あの後確か「We Got Time」も使われてたよね?

    彼女の転機になった作品であることには間違いないねんけど、
    今の安室ちゃんが好きな人って、意外にもこの1枚には目を留めてない人が多いみたい(´・ω・`) 
    飛ぶ鳥落とす勢いの今やからこそ、もっと広まってほしいなぁ。

  9. distortmetal | URL | AWA4hr7s

    はじめまして。以前から見てましたが初コメです。
    お世辞抜きでJ-R&B好きには、最高のブログですょ。

    確かsuite chicがリリースされた年の年末かな、
    これとpalm drive、日の内絵美のアルバムを良く聴いてましたょ。

    名盤なのにブックオフでは250コーナーとかで売られてるのが残念。

  10. ケンイチ | URL | -

    >>distortmetalさん
    はじめまして。

    >>お世辞抜きでJ-R&B好きには、最高のブログですょ。
    最高のお褒めの言葉です。ありがとうございます!

    PALM DRIVEは同時期に俺もよく聴いてました。
    多数のアーティストを巻き込んだプロジェクト、と言う点でも共通してますもんね。

    >>名盤なのにブックオフでは250コーナーとかで売られてるのが残念。
    時の流れは残酷です。。w
    でも寧ろ250円という廉価になった今だからこそ、たくさんの人に聴いて欲しいですね。

  11. ポニー♂ | URL | -

    名盤キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
    安室奈美恵名義を含めても1,2を争うほど好きなアルバム!
    ってか「Without me」って今井大介さんだったのかw
    このアルバムに関してはあんまり頭にクレジットが入ってないから、レビュー見て「うわ、今井大介さんだったんだっけ?w」って今さらビックリしちゃったよw
    最近は自分で楽曲もチョイスしてるセルフプロデュース型だけど、こーやってこっち系の人にまるまるプロデュースされる機会が今後もあっても面白いと思うな~

  12. ケンイチ | URL | -

    >>ポニちゃん
    おぉ~めちゃめちゃ評価してるんや~ポニちゃん。

    「Without me」は、今の今井氏の作風を知ってたら、あんまピンと来ないよなww ほかにも色んなプロデューサーが参加してて1曲1曲カラーが違うから、飽きが来ないんよなぁ。

    >>最近は自分で楽曲もチョイスしてるセルフプロデュース型だけど、こーやってこっち系の人にまるまるプロデュースされる機会が今後もあっても面白いと思うな~

    ある種の「自立」が出来てる今だからこそ、俺もそうする意義は多分にあると思う!
    思わぬ化学反応が起きて、新しい機軸を発見できるかもしれないしね♪

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