FC2ブログ



安室奈美恵 『Queen of Hip-Pop』

2011年01月07日 20:00





安室奈美恵のアルバム『Queen of Hip-Pop』(05.07.13)をレビュー。
『GIRL TALK』『ALL FOR YOU』といったヒット・シングルを網羅した、”安室人気復興の象徴”としても知られる通算7枚目のオリジナル・アルバムです。

1. Queen of Hip-Pop
2. WANT ME, WANT ME
3. WoWa
4. I Wanna Show You My Love
5. GIRL TALK
6. Free
7. My Darling
8. Ups & Downs duet with Nao'ymt
9. I Love You
10. ALL FOR YOU
11. ALARM
12. No


2003年リリースの前作『STYLE』で、自らのR&B流儀を導き出すことに成功した彼女は自信をつけたのか、本作では堂々の『女王』宣言。下火になりつつあった人気をよそに、ただ実直なままに己の信じる道を貫き通した彼女の凛とした生き様と音楽性は多くの支持を博し、最終的に本作は、45万枚オーバーのビッグ・ヒットという立派な結果を残しています。「築いたスタイルの昇華/錬磨」という重要な行程を汲んだ本作は、彼女をさらなる飛躍の場へと押しやった、言わば「跳躍台」のようなもの。T.KuraやNao'ymtをはじめとする腕利きクリエイターたちの完璧な仕事ぶりも相まって、彼女は今日まで大衆にこよなく愛される、よりスタイリッシュで大胆不敵なトップ・スターへと見事に進化を遂げました。
1. Queen of Hip-Pop
複雑に入り組むボーカル・プロダクションでのっけから攻め上げる、Nao'ymt製のエネルギッシュ・アップ。
『信じない ならば消えてplease』『ついてこれる?』などと半ば挑発的に構えたリリックや、スリリングに駆け抜けるシンセ・サウンドからは、「これから再度のし上がってみせる」と言わんばかりの彼女の意気と、自信の高さがまざまざと窺えます。そして、この圧倒的なイメージを序盤から容赦なく押しつけてくれるからこそ、「内に秘めた孤独」を曝ける後半のブリッジが活きてくるわけです。まさに名・対比が引き起こした隙なき1曲。

2. WANT ME, WANT ME
熱気ほとばしるダンスホール・ビートを従えた、2005年4月リリースのスパイシーなアッパー・チューン。MICHICOの手によるリリックは、性の営みについて歌った際どさ満点の内容なのですが、リズミックに展開する譜割りと相乗し、聴き手を煽動するに相応しい小気味よい威力を発揮してくれます。また当時、トラックがMissy Elliottの『Get Ur Freak On』に酷似していると、いささか話題にもなりました。ちなみにトラックを担当したSUGI-Vは、現在もレゲエ・シーンを軸とし活動中。


3. WoWa
彼女の”ヒップ・ポッパー”としての地位を早くも決定づけたと同時に、Nao'ymtの名が飛躍的に普及する重大な契機にもなったのが、PVも制作された今作。ドラム・ロールを取り入るなど”ありそうでない”境界を絶妙になぞり上げる曲調や、思わず口ずさんでしまう即効性の高いメロディー・ライン、そして、チア・ガールに扮したとびきりキュートなビデオなど、とにかくどのファクターを介しても彼女のフレッシュな魅力が見て取れ、素晴らしいの一言に尽きます。このアルバムがここまで広く愛されているのは、この楽曲を軸として、根底のコンセプトが廻っているからこそなのです。

4. I Wanna Show You My Love
T.Kura/MICHICOの最強夫妻が手がけた、本場に引けを取らない高品質かつオーセンティックなR&B。
単純明快なコーラスに被さる彼女の豪快な節回しは、今アルバムの中でもとりわけ本格的なR&Bを印象づけてくれます。そして倉夫妻ファンなら、この楽曲を1度は”MICHICOが歌唱したもの”と想像して、脳内で再生したこと(或いはそう願ったこと)があるはず。何て言ったって、二者の手癖全開ですからね、全体的に。


5. GIRL TALK
彼女ならではの嫌味のない可愛らしさが詰め込まれた、ご存じ名チューン。
乙女に徹した艶のあるトラック・プロダクションも然ることながら、歴代作品史上最も彼女のキャラクターを輝かせたといっても過言ではない、MICHICOのペンによるラフなタッチのリリックがとにかく絶品。『SEX AND THE CITY』などの固有名詞も織り交ぜるなど、雲の上の存在である彼女を、リスナーがより親和的に捉えられるようなギミックもふんだんに盛り込まれています。また、そのMICHICOがディレクションを請け負った終盤のフェイク・ラッシュも特筆。メリハリの利いた指揮をさせたら、右に出るものはおりません。

6. Free
ダークな世界観が行き渡った閉塞バウンシー・トラック。
鈍くうごめくシンセ・ラインが実に心憎いこのナンバーで、彼女は久しぶりに作詞を手がけました。そのシリアス味溢れる作風に初めこそ意表を突かれたのですが、『求められてるままの場所もきっと悪くない but つまらない』のラインをはじめ、当時の心境をそのまま落とし込んだとも取れるシリアスな内容なので、今一度注目のほどを。


7. My Darling
LL BROTHERSによるLil Jonライクなシャウト援護が頼もしいエッジーなフロア・チューン。アトランタ在住の倉夫妻らしく、南部サウンドを多分に注ぎ込んだプロダクションのため、横揺れはもはや必至です。浮ついたボトムの上を軽やかに横断する安室ちゃんのボーカルもすこぶるキュートなり。

8. Ups & Downs duet with Nao'ymt
Nao'ymtの歌声に惚れ込んだ彼女が、自らデュエットのオファーを申し出たという曰く付きのミディアム・スロー。緩急を付けながら歌い上げる両者のボーカリゼーションたるや、何とも形容しがたい魅力を誇っています。今でこそお馴染みとなったNao'ymtお手製の美麗なメロディーも、当時はやけに斬新でした。

9. I Love You
一大ヒット・メイカーであるアメリカのプロデューサー:C."Tricky"Stewartが楽曲提供した身軽なポップ・ナンバー。フランス語や中国語を用いて愛を告白するユニークなHookが印象的です。ソリッドなR&Bチューンが主の本アルバムでは異色にあたる楽曲ですが、『Ups & Downs』を前に配したことで、驚くほどスムーズに聴き浸れるから凄い。

10. ALL FOR YOU
ドラマ主題歌に起用されたエレガントなラブ・バラード。
ピアノやストリングスをサウンドのメインとして構え、”聴かせる安室奈美恵”へと気の済むまで心酔出来るハートフルさ重視の仕様になっています。松本良喜による潤沢なメロディーも申し分なく、特にシングル・リリース時には大変お世話になった1曲です。


11. ALARM
ふて腐れたようなベース・ラインが歌詞通り”脳裏に焼き付く”クールなR&B。
とはいえ、R&Bの道理をある程度弁えた倉夫妻やNao'ymtが手がけた楽曲とは異なり、ポップスとしての逃げ道もさり気なくながらちゃんと用意されているため、見方によって多様な嗜み方が出来る楽曲だと解釈しています。

12. No
ハンド・クラップを用いた機械的なトラックが最後の追い討ちをかける切迫ダンサー。
やたらとアグレッシブさが際立つ楽曲ですが、その反面で、コーラスのディテールが非常に凝っているのもポイント。大サビ前のブレイクで挑発的に囁く『Say N.A.M.I.E.』の節も、「女王君臨」を強調した本作に箔を付けているという意味で、大いな聴き所の一つかと。

そして、今や皆さんご存じかと思いますが、この『No』終了後しばらくすると、短編シークレット・トラック『No pt.2』の演奏が開始されます。こちらの方は、『No』のメロディー・ラインをベースにした穏やかなR&Bスロー。『We Can't Back / YUKALI』『Perpetual Snow / Ring』といった、後世になって発表されたNao'ymt製スローの原点とも言うべき、独特の切なさを携えた1曲です。これほど手堅いクオリティなのだし、いっそフル・バージョンで収録しても何ら問題はなかったように思うのですが、あえて1コーラスに留めている点から察するに、おそらくはNao'ymtや安室サイドの、ごくありふれた遊び心から偶発的に編み出された産物だったのではないでしょうか。そう考えると、本作におけるR&Bへの奔放な取り組みにも首尾よく合点が行くし、如何に本作で安室自身の意見が尊重されたのかも、より明白な形で把握出来てしまうのです。まあ、さすがにそこまで計算されていないとは思いますが、要は聴き手にそうやって深追いを促してしまうほど、本作は計り知れない気迫に満ちているってことなんですよね、間違いなく。

プロデューサーとの精妙なパワー・バランスも売りの一つである本作。
現行シーンの最前線に立つ彼女を後押した第二次出世作として、これからも末永く崇め続ける所存です。



◆Official⇒http://www.avexnet.or.jp/amuro/index.html

ブログパーツ
関連記事
スポンサーサイト





コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://groovinrb.blog32.fc2.com/tb.php/967-7f13fad0
    この記事へのトラックバック


    最近の記事