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為岡そのみ 『DRAMATIC』

2011年01月26日 19:30



  

シンガー・ソングライター:為岡そのみのアルバム『DRAMATIC』(11.01.26/CD:11.02.23)をレビュー。

1. 黒い髪
2. FAITH
3. 告白

4. Lost in Love
5. スペースシップ feat. Tassho Pearce
6. ありがとう

7. DRAMATIC
8. movin'on (JAZZTRONIK Remix)
9. U&Me (Okaerio Remix)
10. Crying for You (Studio Live)

 『MOVIN' ON』から約一年半ぶりとなる二枚目のアルバム作品。
上質なR&Bネスを振る舞いながら、ポップスの要素も果敢に消化したことで、サウンド面における親しみやすさは前作から格段に向上している。ここで誤解しないでほしいのが、本作には、「R&Bとしての魅力が半減し、面白みに欠けてしまう」どころか、「その両方を信じ、自らの培った感性をありのままに提示する」彼女のクリエイティビティが活き活きと躍動しているということ。そして、これだけ間口の広い作品だけに、流行に左右されない情緒溢れるメロディー・センスや、バック・コーラスなどのキャリアに裏打ちされた気迫溢れる歌声もより一層の洗練さを伴って、我々に新たな感覚を呼び起こしてくれる。言わばこれは、彼女が解釈する「現行R&Bの具現形」。あらゆる角度からR&Bを、そして音楽を見つめ直した彼女の真実がここにある。
 今回、そんな彼女の最たる原動力となった人物こそ、昨年発の名アップ『REVENGE』でタッグを組み、彼女を新たな境地へと差し向けたU-Key zoneその人ではないだろうか。残念ながら、その『REVENGE』は今回未収録に終わっているものの、本流に媚びないスタンスを持つ者同士で共鳴し合ったのか、彼は今回、完全書き下ろし作となる勇壮トラック②『FAITH』と、ノスタルジックな風情が沁みる和風ミディアム③『告白』の計二曲に関与している。特に②『FAITH』では、昨今の彼を象徴する驚異なまでのオリジナル・プロダクションが容赦なく炸裂し、『REVENGE』同様”近未来型”と呼ぶに相応しい、既存のR&Bフォーマットを真っ向から打ち破った快作となった。そして、それ以上に個人的に好感を持ったのが、彼がトラックを提供した③『告白』。「学生時代に思いを寄せていた彼と偶然出会ったことで、再び恋心が芽生え始める」という何とも切なく愛らしい恋愛観を、U-Key流和風アプローチが、見事なまでの愁いと立体感を以て表現。くわえて、間奏や終盤で綿密に重なり合うコーラス・ディレクションがこれまた悲しいほどに美しく、まさに両者の好相性を証明した荘厳この上ない一曲と言える。楽曲中では、自分の思いを伝えずに終わる主人公だが、この奥床しいクオリティを受けて、「彼女」もさぞかし報われているに違いない。

 このように、慣例的なR&Bからの脱皮が強調された本作なのだが、前作にて掲げられていた、古き良きR&Bマナー規格の楽曲も勿論収録されている。その代表例が、ハワイ出身のラッパー:Tassho Pearceが参加した⑤『スペースシップ』。『虹をみたいの』『U & Me』など数多くの佳曲を手がけたOkarioが、90'sのフレーヴァーを忍ばせた極アーバンなトラックを提供している。それに跨がるは、冷ややかなファルセット使いもばっちりな為岡の歌唱なわけだから、もはや出来は保証されているも同然。R&Bのスタンダードな真髄は、この楽曲で心行くまで味わって頂きたい。

 一方で、潔くポップスへと振り切った異色作も。
⑥『ありがとう』は、友人の結婚にインスピレーションを受けたというリリックが涙を誘う、メロディアスなポップ・ナンバー。煌びやかなアレンジは王道ポップスさながらだが、機転を利かせながら展開するボーカルが楽曲をしなやかに牽引しているため、思いのほか違和感を抱かずに聴けるはずだ。そして、昔懐かしの歌謡曲のテイストをちらつかせるのは④『Lost in Love』。春川仁志によるエキゾチックなアレンジに乗せて、湿り気を帯びたボーカルが失恋をことごとく嘆く。この二曲も、R&Bという概念に囚われない本作の作風と、より柔軟な方向性を決定づける上での重要な役割を果たしている。

 残る新録曲も、壮大なイントロに、まるで映画のワン・シーンに迷い込んだかのような錯覚へ陥る情念系R&B①『黒い髪』や、低音主体のボーカルで、自身の備えるシーン屈指の表現力を伝えるピアノ・バラード⑦『DRAMATIC』などまさに粒揃いで、おまけに、盟友:Jazztronikが手がけた疾走Remix⑧『movin'on (JAZZTRONIK Remix)』、Okaerioが自らアレンジを買って出たというセルフRemix⑨『U&Me (Okaerio Remix)』、そしてLIVEで披露しているスタイルそのままを落とし込んだ圧巻のピアノ・アレンジ⑩『Crying for You (Studio Live)』といったリテイクものも三曲収録されており、良心的なお得感も存分に詰め込まれている。

 かくして、彼女の音楽模索の成果は、色とりどりのサウンド・アプローチと、情景豊かなセンテンスを汲んだ革新的な形で、我々の前に呈されることとなった。「R&B」という音楽が多様化の一途を辿る昨今だからこそ、彼女のようにすすんで新たな良質ファクターを探し求める存在は非常に頼もしく、有望だとも素直に思える。たとえ、それがすべての人に受け入れられなかったとしても、「これが今、私の向き合う”音楽”」。そう胸を張らんばかりに歌い上げる彼女に、R&Bの限りない可能性を垣間見た気がした。

DRAMATIC - 為岡そのみ



★★★★★★★★★☆
◆Official Blog⇒http://ameblo.jp/sonomi222/


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コメント

  1. 501 | URL | Lis/V8ZU

    ジャケットも急激に垢抜け、ヒットくるかなーと思ったらいきなりYahooニュースにまで進出とは…!飛ぶ鳥をも落とす勢いで。
    一昨年、J.B.S.のレビューで知ることが出来て本当によかったっす。

    一曲目、黒い髪でいきなり心射ぬかれましたねー。虹をみたいのと言い、頭から求心力がハンパない!

    あ、メールの方も返信しましたが、今回は無事に届いているでしょうか?ご確認お願いしますー

  2. ケンイチ | URL | -

    Re: タイトルなし

    >>501さん
    凄いですよね~展開が。
    まあ実際中身もかなりの良作だったので、僕としても満足がいくプロモ活動です。

    「黒い髪」のパンチたまんないですよねぇ。
    あのイントロの壮大さ!絶妙に歌謡っぽさをちらつかせているあたりも大好きです。

    メール、無事に届いております!(そして、僕も返信させて頂いたのでご確認を・・・w)
    皆さん全員からご意見を収集した上で、またメール送らせて頂きますね!

  3. ぶる~ | URL | -

    前作よりもまた表現の幅が広がって、心地よいアルバムになりましたね!
    「Crying for You」は圧巻ですね。
    「黒い髪」の90's Soulテイストもかなりツボです!

  4. ケンイチ | URL | -

    >>ぶる~さん
    そうですね~色んな角度から彼女の才能を見つめられるというか。
    『Crying for you』は、今回のピアノVer.の方が好きです。
    情感的過ぎて、目頭が熱くなりますわ・・・!

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